いつまでもあなたは、私のお兄様です―――

手紙-ナナリー・ランペルージ

お久しぶりです、お兄様。
しばらくお手紙を差し上げなくてごめんなさい。 
私は元気です。咲世子さんもついていてくださいますから、心配しないでくださいね。  
この前、退院しました。 
まだ週一回は通院ですけど、リハビリは家でもできるからと。 
手術は無事成功しましたが、周りの景色もまだぼんやりしています。 
でもお医者様が「しばらくすればはっきり見えるようになる」とおっしゃるので、もうしばらく辛抱します。  

今住んでいるところは、コーネリアお姉さまが用意してくださったんです。
白い壁が綺麗で、とても気持ちのいい日の光があたる郊外の静かな家です。 
咲世子さんと二人で暮らすにはちょっと大きい家ですけど。
こんど何か飼ってみようかって二人で話しています。 
私としては、犬か猫がいいんですけど・・・ 
猫だったら黒猫で、犬だったら茶色の大きな子がいいって咲世子さんに言ったら、 
「ルルーシュ様とスザクさんですね」って。  

あれから、4年ですね 日本は変わりましたか? 
今は、桜の季節でしょうか? 
私、桜をきちんとこの目で見てみたいのですけど、今年は無理かもしれません
お兄様にはとても感謝しています 
いつでも私を守ってくださって 
お兄様はとても辛い思いをなさっていたのに・・・  


本当は私、お兄様が何かしてるって気付いていたのかもしれません 
でもそれを誰かに告げたら、お兄様がいなくなってしまうって思っていたのでしょう 
結局私は、お兄様に甘えていたかっただけなんです 
お兄様の優しさに、依存していたかっただけだったんです  

もちろん今でも、お兄様のことは愛しく思っています 
会えなくて寂しいです 
でも私もそろそろ一人で歩けるようにならなくてはならないと思っています 
そうでないと、いつまでもお兄様を縛り付けてしまうから  

お兄様ももう、幸せになっていいと思うんです 
私や他の誰かのことだけを考えるんじゃなくて、
自分のことを思ってもいいんです 
だからお兄様が寂しく思われても、私は一人で歩こうと思います  

そういえば、ミレイさんが今度同窓会をやろうっておっしゃってました。 
アッシュフォード学園生徒会メンバーでって。 
お兄様は来られますか? 
カレンさんはあのあと行方がわからなくなってしまったみたいです。 
でもミレイさんは「何が何でも全員集めるわ」って意気込んでらっしゃいました。 
みなさんに早く会いたいです。 
もちろんお兄様には、その前に会いに行くつもりですけど。 
目と足の様子が安定したら、日本に帰るつもりです。 
待っていてくださいね。

ナナリー・ランペルージ

−追伸ー 
お元気ですか? 
あなたがお兄様の側にいてくださることには、とても感謝しています。 
お優しいあなたのことですから、お兄様や私に対して罪悪感を持っていらっしゃるのかもしれません。 
でも、気負わないでください。 
お兄様も私も、あなたを恨んでなんかいません。 
むしろとても感謝しています。 
ありがとうございます。
日本で、お兄様とあなたに会えることを心から楽しみにしています。